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豊科近代美術館 木村辰彦の絵画新たに15点

 安曇野市豊科近代美術館は、終戦後の一時期、安曇野で暮らした洋画家・木村辰彦(1916~73)の絵画15点を新規収蔵した。静謐で気品のある静物画が中心で、お披露目となる記念展示会を6月2日まで開いている。開館時に収蔵し、長らく未公開だった人物画「小娘」も修復され、併せて飾られている。

 「常設展拡大企画」と位置付け、地元ゆかりの作家として紹介している。新たに今年、収蔵したのは油彩と水彩で、静物画は花や貝、パイプなどを題材とする。薄塗りで、少し青みがかった色が特徴だ。澤田龍太郎学芸員は「淡く清楚な光に包まれた、さわやかな画風」と語る。
 木村は東京生まれで、二科研究所に通い、画家の熊谷守一、石井柏亭、安井曾太郎らの指導を受けた。昭和13年から安井に師事し、奥田郁太郎と共に安井の一番弟子とうたわれた。20年に現在の上水内郡信濃町に疎開し、その後、現在の安曇野市三郷、穂高地域などに住んだ。一水会会員で、26年には第13回一水会展で一水会優賞を受けた。28年に東京へ戻り、48年に病気で亡くなった。
 油彩画の「小娘」は昭和27年、安曇野時代に描かれた。椅子に座った少女の表情が愛らしい。他の作品と異なり、厚塗りの点描で、遊び心がある。平成4年の開館時に収蔵した時は既に損傷が激しく、木村の回顧展が他館で行われた際も出品を断るほどだった。絵のモデルとなった長女・時子さんが伝え聞き、修復費用の負担を申し出た。著名な修復家・吉村絵美留さんが手掛け、美しくよみがえった。
 午前9時~5時。月曜休館。一般600円、大学、高校生は400円(中学生以下無料)。

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