連載・特集

2019.5.30みすず野

 川崎市で児童らが殺傷された事件が起きた一昨日、70代の元教員の男性、80代の元市議の男性が相次いで本社を訪ねて来られ、用件のあと事件の話になった。学校や地域の取り組みは進んできたが、子どもたちの安全を、100%確保するのは難しい、と頭を抱えざるを得なかった◆なぜ、こうした犯罪が繰り返されるのか、社会背景があるのだが、二人とも、圧倒的に国民が支持した小泉純一郎首相(平成13~18年)の新自由主義政策が、日本を変えたと言った。企業に非正規雇用の導入が認められ、格差社会が出現し、ニートや引きこもりが問題化、「勝ち組、負け組」などの言葉がはやったあの時代◆一人は「お金がある人が幸せ、ない人は不幸せの価値観が定着し、経済の前に日本人が本来持っていた美徳、精神が壊された」、もう一人は「一億総中流が崩れ、持っている人と、持っていない人がはっきりし、持っていない人の疎外感が強まった。そういう社会をつくってしまった」◆今度の事件は、犯人が自殺したために本人の口から動機が語られることはない。防犯の練り直しと同時に、社会背景に思いを至らせないといけない。