連載・特集

2019.5.29みすず野

 夏の訪れを告げるカッコウの鳴き声で目を覚まし、障子戸を開けると、シャクヤクの花が満開になっていた。視線を上げた先の青葉を茂らせたコブシの木に、ことしもヤマバトが巣を作るだろうか、などと思いながら、スマホを手にした◆来日中の米トランプ大統領の動向が気になってのことだったが、神奈川県川崎市で起きた無差別襲撃事件の速報が流れていて、爽やかな気分が吹っ飛んだ。「えっ!? 何」「子どもたちが犠牲になったのか」。テレビをつけると、現場からの中継が始まっていた。昼ころには事件のあらましがわかってきた◆無差別に子どもを殺傷した事件として、記憶に残るのは大阪・池田の小学校で児童8人を殺害、教師と児童15人に重軽傷を負わせた、凄惨極まる大事件。犯人は30代の男だった。平成13(2001)年6月の出来事だ◆今回は、私立小に登校するスクールバスを待っていた小学生らが、包丁を持って向かってきた男に次々刺され、女児1人と男性が死亡、14人が負傷した。中年のその男は現場で自ら首を刺し、収容先の病院で死んだ。動機は? 社会への憎悪か、誰でもよかったのか。たまらない。