連載・特集

2019.5.24みすず野

 松本と民芸の関わりは、昭和20(1945)年5月、市内で開かれた柳宗悦の「地方文化と工芸」と題する講演がきっかけだ。話に感動した三代澤本寿、丸山太郎、池上喜作らが日本民芸協会長野県支部を結成し、活動を展開していった◆柳は何を提唱したのか。名もなき職人たちの手で作られた日常使われる品々、それは生活に即しているからこそ美しい、と述べた。柳は終生、無名の雑器がなぜ美しいかを問い続け、訴え続けたと言っていい。著書の一つ、『手仕事の日本』(岩波文庫)の中でこんなことを書いている◆「果たして生活から離れた時に、美が高まってくるでしょうか。(中略)人間の真価は、その日常の暮しの中に、最も正直に示されるのでありましょう」「世の人たちは、名を記す必要のない品物の値打ちを、もっと認めねばなりません。自分の名を誇らないような気持で仕事をする人たちのことを、もっと讃えねばなりません」◆柳の民芸運動は職人たちを大いに励ました。松本市美術館で、型絵染の道を極めた三代澤の作品展が開かれている。三代澤を知り、松本と民芸を思い、「工芸の五月」にふれてみよう。