連載・特集

2019.5.22みすず野

 「人生七十古来稀なり」とうたわれた古希70歳。昔々70まで生きられる人はまれだった。いまはというと、70歳まで働き続けられるよう、政府は高年齢者雇用安定法の改正案を来年国会に提出する。近い将来、多くの人が70歳まで勤める時代が訪れるのはまちがいない◆現在企業は、65歳まで希望者を雇用することが義務づけられている。これがそのまま70になるのではなく、企業の「努力義務」とする。改正後、企業の取り組み状況を見ながら、さまざま義務化をする方針らしい。働き手世代の激減を見越し、労働力の確保が狙い。政府調査によると、65~69歳の65%は「仕事をしたい」と思っている◆実際に就業しているのは50%以下という。安倍政権が唱える「生涯現役社会」に向けての改正だが、年金受給年齢の繰り上げ、受給額の抑制と表裏一体。生涯現役社会とは、言い方を変えれば、死ぬまで働く社会である。一部の富裕層を除き、庶民層にはきつい◆仕事の基本は大方体力で、60代は相当落ちる。経験でカバーできる領域、ポストは限られ、60代が多い職場の総合力、競争力の下落は明らかだ。高齢者、企業双方で課題山積。