連載・特集

2019.5.13みすず野

 録画してよく見るようになったテレビ番組に、NHKBSプレミアムの「新日本風土記」がある。日本各地でいまを生きる人々の姿を通して、その土地の伝統文化、風習等を未来に伝えようという映像詩だ◆以前放映された「津軽海峡」は、海峡をはさんで、青森と函館で暮らす人の物語だったが、物語の一つに北海道開拓で活躍した馬「どさんこ」が登場していた。数が激減するなか、どさんこに魅せられ、東京の高校を中退して函館に移住し、林業で生計を立てる壮年男性が、雪の山でどさんこにまきを背負わせ、下る姿◆一本の綱を、素手で巧みにいくつものまきに回し、どさんこの背の両側に負わせる。「慣れれば簡単だが、慣れるまで大変。おれ自身で生み出したものは何もない」などと話しながら、作業する姿に打たれた。こんな人もいるのかと。この番組に出る人たちはみな、地位も名誉もない、いわゆる庶民である◆一つの仕事に励みつつ、淡々と生活しているのだが、口をついて出る言葉は実に味わい深い。昭和の時代に国鉄(当時)がはやらせた「ディスカバー・ジャパン(日本発見)」の事象はまだまだ残っている。