地域の話題

常念小屋100年 記念の木札

 北アルプス・常念岳(2857㍍)の山頂直下にある山小屋・常念小屋が今年、大正8(1919)年の開業から100周年を迎える。「安曇野のシンボル」として古くから地元の人々に敬愛され、外国人として初登頂した英国人宣教師のウォルター・ウエストンが「優雅な三角形」とたたえた山にあって、国内外から訪れる登山者を受け入れ、交流の場となってきた。小屋開けの27日から、宿泊客に記念の木札を配布して節目を祝う。

 常念小屋を創設したのは、北ア南部で最も古い山小屋・槍沢ロッヂ(大正6年開業)の建設に関わった松本市六九町の青年・山田利一だ。常念岳北方の鞍部・常念乗越に建てられたことから当初「常念坊乗越小屋」と呼ばれた。東西約5㍍、南北約7㍍の平屋造りで部屋の中央に炊事と暖房、照明を兼用するいろりがあった。当時の小屋のサイン帳「胸中のアルプス」には、あぐらをかいていろりのそばに座り、丼を抱えて「山海の珍味」を味わう詩人・大町桂月の記述がみられる。
 高山チョウの研究者で生涯に206回、常念岳に登った田淵行男も頻繁に小屋を利用した。2代目主人で一昨年6月に亡くなった山田恒男さんと交流が深く、さまざまなエピソードが残されている。
 宿泊者に配布する木札は、150回近く訪れた常念小屋の常連客・真々部進さん(71)=堀金三田=が手掛けた。縦8・5㌢、横4㌢で、打ち合わせると高く澄んだ音がするナラの木を素材にし、裏表に「常念坊」と「百周年」の文字の焼き印が押されている。1万2000枚作った。
 真々部さんは80、90周年の時にも木札を作り、頂上にあるほこらも製作した。「恒男さんはにぎやかなのが好きな人で、小屋でみんなで飲むのは楽しかった。100周年をとても楽しみにしていた」と振り返る。
 現主人で3代目の山田健一郎さん(55)は「汗をかいて山を登ってきた人を里の肩書に関係なくもてなし、同じ釜の飯を食べて気持ち良く泊まってもらうのが常念小屋流」とし「常念は子供たちにも比較的上りやすい山。これからも老若男女いろいろな人を受け入れていきたい」と話している。

連載・特集

もっと見る