連載・特集

2019.4.18みすず野

  花の語がついた美しい日本語がある。「花衣」「花曇り」「花筏」...「花たぬき」なんて言葉もあって、これらの花はすべて桜にほかならない。花たぬきとは、桜の花に浮かれる人をタヌキに見立てたものだそう◆妖しく美しい桜の下、酔っ払って、タヌキに化かされる人もいるかもしれぬ。中信地方に桜の季節がやって来た。3月が暖かったため、すぐにも咲くかと思われたが、4月に入って寒い日が続いて、ようやくという気がする。元松商学園高校教諭の窪田文明さんに『信州の桜紀行』『信州の桜物語』(どちらも郷土出版社)がある◆窪田さん、かなりの桜好きと見え、信州の桜の"名所"を何年もかかって訪ね歩いて写真に収め、100カ所厳選で紀行にしているほか、桜の名前、歴史、伝説、習俗に至るまで物語にまとめ、この2冊があれば、インターネットもナビも要らない。あとは足を延ばすのみ、という感じ◆それでも山里にひっそり咲く一本、廃校になってしまった小学校の校庭の老木、いまは亡き父母が愛したお堂の枝垂れ桜などなど、愛する桜は人それぞれではないかと思う。そんな桜との再会に胸踊らせて。

連載・特集

もっと見る