連載・特集

2019.4.11みすず野

 偉大な祖父、そのプレッシャーに押しつぶされてしまった父、その祖父を教師とし、父を反面教師として育ち家を再興、あるいは別の分野で花開く孫。親子孫3代の物語には、そんな盛衰が大概ある◆2024年度から発行される、1万円札の肖像画となる渋沢栄一は、明治・大正期の大実業家。「日本の資本主義の父」と称され、昭和6(1931)年に91歳の大往生を遂げるが、息子は重圧にうちひしがれ、蕩児として生涯を終えた。孫の敬三は祖父の後ろ姿を見て成長し、「心の底に秘蔵したいような、有難い姿でもあり、力でもある」と書き残した◆日銀総裁、蔵相まで務めた実業家の一方、学問好きで文化研究所を開設、民俗学者、文化人類学者をバックアップし育てた。その一人が、誰も見向きもしない山村、漁村を歩き回り、貧しくも勤勉に生きた庶民の話を聞き、励まし、生活史にまとめ上げた宮本常一である◆折しも松本、塩尻両市などで議員選が始まる。松本市は定数31に対し、42人が出馬予定で、なり手不足の時代に大激戦だ。地域再興策はいかに。人々の声なき声に耳を傾け続けた宮本の姿勢は大変参考になる。

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