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湯の原・薬師堂に新本尊 住民が手彫りあす魂入れ

 松本市里山辺湯の原の美ケ原温泉街裏山にある薬師堂から、昨秋に本尊の薬師瑠璃光如来像が何者かに盗まれ、地元世話人会が後継の本尊を祭る計画を進めている。会長で湯の原町会長の木下晴夫さん(71)と幼なじみで、地元の温泉旅館「追分屋旅館」会長の花岡清至さん(71)が寄贈を申し出た。地元住民が手彫りした木像で、30日に魂入れの法要を行う。

 盗難が発覚したのは昨年9月中旬で、秋祭りの準備で木下さんら世話人たちが薬師堂を訪れた際、普段施錠しているお堂の板壁の一部が壊され、厨子に納められていた高さ約50センチの木像が無くなっていることに気づいた。松本警察署に知らせたが、現在もまだ見つかっていない。堂内には盗まれた本尊の写真が掲げられている。
 世話人会は、後継となる本尊の薬師如来像の用意を考え、町会の組長会議などにも相談したところ、会員の花岡さんが寄贈を申し出た。花岡さんは小中学校時代の同級生で、趣味で能面を彫っているブドウ農家・山本徳次さん(71)=里山辺=に製作を依頼した。山本さんは昨年11月下旬から約5カ月かけて、カワグルミとホオの木でほぼ同じ大きさの無垢の薬師如来像を彫り上げた。
 山本さんは「最初は彫れるだろうかとも思ったが、雑念を払って彫った」と振り返る。花岡さんは「薬師様は温泉街の守り神。信仰の歴史をつなぐため、地域への恩返しになれば」と思いを語った。
 木下さんは「盗難はショックが大きく悔しかったが、お祭りは続けなければと思っていたので寄贈の申し出はありがたい」と感謝し「今後は盗難対策も強化していきたい」と話している。
 魂入れの法要は30日午前10時からで、世話人会などの関係者が集まる。