連載・特集

2019.3.23みすず野

 かっと見開いた目に力が宿る。一本歯の高げたを履き、つえと鈴を持った木造の覚明霊神像だ。明科の山あいにある柏尾集落の御嶽神社を彼岸の中日に訪ね、高さ2・4メートルの威容を社殿の格子越しに見上げた◆八面大王伝説を語るよすがの一つ「鬼首大明神」のほこらの前から坂道を歩いて登った。由緒書きによると、幕末の慶応2(1866)年に松本と柏尾の人が作り、像を木型にした青銅像は廃仏毀釈で鋳つぶされた。並んで立つ三笠山刀利天狗像も威厳たっぷり。晴天なら北アルプスの連なりが眺められる◆大日堂に下ると、地域住民やウオーキング客らが大勢集まって「風神祭り」が始まるところだった。全員でお経を唱えて、持ち寄った手作りのわら人形に息を吹き掛け、地面に突き刺す。人形に持たせた米を朝飯に炊き込み、一年の無病息災を願う。屋号で呼び合う6戸の集落は信仰文化の"博物館"だ◆過疎化と高齢化で途絶えかけた伝統行事が故郷を思う人たちの手で受け継がれる。4歳から参加して今春5年生になる豊科南小学校の唐澤あやめさん(10)は「この祭りが好き」と言った。祖父も父親もこの集落で育った。

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