地域の話題

塩尻市立博物館、昆虫標本のデータベース化進む

整理が進む膨大な昆虫標本のデータ。公開に向け10年がかりの蓄積が進む

 塩尻市立自然博物館(塩尻町)が、所蔵する昆虫標本のデータベース化を進めている。同館を代表するチョウのコレクションだけでも4500種・5万匹を数える中、膨大な資料の情報を時間的・空間的制約なく市民が利用できる環境を整える狙い。甲虫類などの収蔵品も合わせると、全資料のデータ化には少なくとも10年近い歳月がかかるとみられるが、関係者の熱意が息の長い事業を支えている。

 4年ほど前に作業が本格化した。当面チョウの整理を進め、標本の学名に誤りがないか、現代の分類基準に照らして修正は必要ないかなどを確認しながらデータ化していく。外部の専門家にも照会し、1種類の情報確定に数日かかることもあるが「公の記録として後世に残すためにも信頼性ある根拠を持って慎重に進める必要がある」(同館)。
 併せて1個体ずつ写真のデータも残す。標本の表、裏、雄、雌、亜種...と撮り分ける根気がいる作業だ。これまでに整理し終えたのは標本箱数にして全体の1割ほど。全ての資料のデータ化には最低でもあと5年はかかるとみている。
 公共の文化資源をデジタル化し、記録・公開する取り組みは近年全国的に進む。自然博物館の場合、膨大な標本を展示室に並べるには限界があり、劣化の観点からも公開には制約が生じるが、データベースを活用することで国内外から情報にアクセスでき、資料の有用性も高まる。
 標本データの公開時期は未定だが、同館は全国の自然史系博物館の標本情報が集まる検索サイト「Sネット」への参加も将来的な視野に入れる。本年度で退任する野溝美憲館長は「情報の活用が実現すれば標本そのものの価値も高まる。自分たちの街に素晴らしい財産があるんだということを市民が知る一助になれば」と願っている。

連載・特集

もっと見る