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松本・歴史の里旧製糸場 国文化財へ 座繰工場の姿今に

 国の文化審議会は18日、大正14(1925)年ころに建設された「旧昭和興業製糸場」(松本市島立)を国の登録有形文化財とするよう柴山昌彦文部科学相に答申した。近代製糸業の主流であった「座繰工場」の姿を今に伝えており、「造形の規範となっている」として登録されることになった。

 旧昭和興業製糸場は市立博物館分館・歴史の里内にある。今回登録されるのはボイラー室を除く木造平屋約180平方メートルの1棟で、諏訪郡下諏訪町に建てられ、平成8年に昭和興業側から歴史の里前身の日本司法博物館に無償譲渡される形で移築された。
 作業者がいすに座って手作業で糸をたぐり、枠に巻き取る「座繰」を行っていた工場で、屋内には蚕の繭を煮て糸を取りやすくする煮繭場、糸を取り出す繰糸場、糸を大きな枠に巻き直す揚返場などがある。腰高のガラス窓が並ぶ造りや、屋内の蒸気を逃がすための越屋根などは当時の座繰工場の特徴だ。
 昭和12年には女性を中心に約70人が働いていたといい、平成7年まで操業していた。
 歴史の里の百瀬洋志館長は「かつての製糸業のあり方を今に伝える貴重な文化財。今後も一層の保存活用に取り組んでいきたい」と話している。
 市内の国登録有形文化財は旧昭和興業製糸場の登録が決まれば51件になる。