連載・特集

2019.3.29みすず野

 現役引退を表明したイチローに対し、「安打製造機」と言うと顔をしかめられそうだが、プロ野球の世界では、ヒットを量産する職人肌の選手に対し、その称号を与えてきた。彼の日米通算4367安打は、ピート・ローズの大リーグ記録をも上回る◆史上最高の「安打製造機」であり、打つだけでなく、守っても走っても超一流だった。記録と記憶、その両方にこれだけ鮮明に残る日本人の野球選手は、もう現れないのではないか。まさしく不世出の選手。天才なのはまちがいないけれど、毎日毎日、専用マシンなどで孤独なトレーニングを続け、そのひたむきな努力が、偉大な数字を築き上げた◆「自信満々より、不安のほうがすっといいんです」「(4000安打を打つために)8000回の悔しい思いがある」「野球は、もう少しおおらかであっていい。ベースボールは、もう少し緻密であっていい」...。28年間の数々の"イチロー語録"の締めくくりは、「後悔などあろうはずがない」だった◆プロ野球が開幕する。ひいきのチームの状態はどうだろう。イチローの背中を追いかけそうな若い選手の活躍にも期待し、胸わくわく。