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登山案内100年で記念誌 有明の組合 寄稿や遭難記録

 近代登山黎明期の大正7(1918)年に創立され、昨年100周年を迎えた安曇野市の有明登山案内人組合が、記念誌『岳の道標 百』の販売を始めた。組合員らの寄稿を載せたほか、昭和7(1932)年に起きて組合員ら5人が犠牲になった雪山二重遭難事故の記録「白樺の小舟」(寺島蔵之さん記)を抜粋で再録し、登山の安全を担う次の百年への道しるべとした。

 組合の歴史を語るうえで外せない悲痛な二重遭難は3月末の常念岳で起きた。登山客1人と案内人1人が凍死し、救助に向かった登山客の友人1人と案内人2人が雪崩で命を落とした。延べ千人以上の地元住民が捜索に携わったという。
 「白樺の―」は事故から半世紀たった昭和56年に、当時を知る人たちの証言や新聞記事などを基にまとめられた労作だ。組合の80周年記念誌『岳の道標』に続き、今回も収録した。100年誌の編集委員を務めた組合の赤沼千史さん(58)=穂高有明=は「今も変わらぬ人の命に対する強い思いが伝わる。当時の村の感じもにじみ出ていて、郷土史としても貴重だ」と話す。
 100年誌の「組合員寄稿」には18人が山の思い出や雑感を寄せた。先輩たちの使命感を1世紀にわたって受け継いできた歴史の重みや、山男山女にしか書けない山の楽しさと厳しさが生き生きとつづられている。次の百年に向けて若い組合員を増やそうと問題提起した一文もある。
 組合は登山案内のほか、遭難救助や登山道整備も担う。組合長の畠山憲一郎さん(71)=同=は登山客に向けて「自分自身で考え、判断できるための経験を積み重ねてもらいたい。案内人との山行やこの本がそのきっかけになればうれしい」と話している。
 『岳の道標 百』(A5判、153ページ)は一部1600円(税込み)で、JR穂高駅前の市観光情報センターで購入できる。100周年のロゴマークが入った手拭い(1000円)や貴重品の収納に便利な小物入れのサコッシュ(4200円)も作った。問い合わせは事務局の赤沼千史さん(電話090・8003・6038)へ。

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