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安曇野の屋敷林「だいぶ切った」4割 所有者調査

 安曇野市内で屋敷林の減少が進んでいる。保全を支援する市民団体が昨年実施した所有者アンケートによると「屋敷林をだいぶ切ってしまった」との回答割合は39%で、平成27年調査の31%から増えた。高齢化や維持管理の負担を理由に伐採するケースが多いとみられ、空き家も増えている。公的支援がないまま地域の「宝」である景観が失われつつある状況に、対策を求める声は強まっている。

 調査は「屋敷林と歴史的まちなみプロジェクト」(場々洋介リーダー)が市内各地の代表的な屋敷林59件を抽出して実施した。屋敷林を「現状のまま」維持したいとの声は69%に上る。だが以前と比べ「だいぶ切った」との回答割合は「全く変わらない」(38%)とほぼ並び、「近隣住民への心理的負担が大きい」「台風などでの倒木が心配」「松枯れが出始めた」などが理由に挙がる。
 屋敷林は県内でも安曇野周辺に多く、北アルプスから吹き降ろす風雪から家屋を守り、建材や燃料に利用するなど多くの利点があった。だが住宅性能が向上して必要性が薄れ、枝払いなどの手間や費用が負担となっている。
 若者の「古民家離れ」も一因だ。「『私が死ぬまでは残したい』という高齢者の熱い思いが安曇野の屋敷林を守っている。場合によれば世代交代で民家もろとも更地になるのでは」と場々リーダーは心配する。関係者によると、家主の子供が自宅を新築し、屋敷林付きの古民家が空き家となる事例は少なくない。
 市は維持管理費助成制度の検討を「緑の基本計画」に盛り込むが、屋敷林の定義や個人財産への公的支援の難しさで、進んでいない。市民レベルでは落ち葉の処理を手助けし、農家体験の観光ビジネスへの活用を探るなどの動きが出ている。場々リーダーは「お金だけでなく、屋敷林の素晴らしさを市民が共有し大きなうねりにしていくことが大きな使命だ」と話している。

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