連載・特集

2019.2.9みすず野

 ムーミントロールはムーミンママが大好きだ。家族が冬眠している屋敷で独り目を覚まし、暗くて不安な冬を初めて体験する。やがて春になり、起き上がったママに〈とてもいっぱい話したいことがあるんだよ〉(トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の冬』山室静訳)◆授業で赤ちゃんを抱っこした堀金小学校の6年生が参観の母親に抱きつき「ありがとう」と伝えた―と記事を読み、笑みがこぼれた。フクジュソウが咲いたと連絡を頂き、花壇の前で聞いた家主の一言にほっこりと春の気配が濃くなる。「受験生たちも笑顔の一輪が咲くといいですね」◆ムーミントロールは冬を乗り切り、一つ成長した。日なたの土からクロッカスの芽が顔を出す。スノークのおじょうさんが寒さよけのガラスの覆いを提案すると〈この芽も、すこしはくるしいことにあうほうが、しっかりすると、ぼくは思う〉◆きのう公立高校入試の前期選抜があり、後期選抜は来月6日だ。リュック一つで一人旅のスナフキンもムーミン谷に立ち寄る頃だろうか。彼が前年に残していった春の手紙の〈ごきげんよう〉に続く一文は〈よくねむって、元気をなくさないこと〉

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