連載・特集

2019.2.26みすず野

 地元の文化を掘り起こすのは、二重の意味で大事だ。一つは放っておくとすっかり忘れ去られてしまうことを、いま一度明らかにして後世に伝える。もう一つは、それを催しと結びつけ、人を呼び込む◆江戸後期の戯作者・十返舎一九は当地を何度か訪れており、文化11(1814)年夏には、松本の高美屋書店に約1カ月滞在、成相新田(豊科)の大庄屋、藤森善兵衛宅に遊び、穂高の栗尾満願寺、水沢(波田)の若澤寺(現在廃寺)をお参りしている。秋口に大町に出て、善光寺を参詣、江戸に戻った◆安曇野の有志でつくる「十返舎一九に親しむ会」が、発足10年を記念し、一九の『続膝栗毛八編』を、誰でも読める文字にして復刻した。丸山英二会長が、苦心して完成させたという。同じ安曇野市のNPO法人・安曇野ふるさとづくり応援団(等々力秀和代表)も、地域の文化遺産を自分たちの手で守り、次世代に継承しようと力を入れている◆こうした取り組みが、地元の「宝」を再発見し、住む人々の心のよりどころとなって、つながりを深める。観光にも一役買うにちがいない。ビッグイベントだけが集客策ではないのだ。

連載・特集

もっと見る