連載・特集

2019.2.18みすず野

 岡本かの子、の名を聞いてどんなイメージを喚起するのだろう。知らない、聞いたことすらない人が多いのかもしれない。大阪万博の「太陽の塔」を造った芸術家・岡本太郎の母だ◆50歳直前に急逝したのは、昭和14(1939)年のきょうなので、80年も前のことである。漫画家の岡本一平と結婚し、太郎をもうけた後、奇怪な、というか異常な私生活を営んだ。若い学生と恋に陥ったのはあり得るとして、その学生を同居させた。学生が肺を病んで死ぬと、今度は若い医師、「弟」の2人の恋人を一緒に住まわせた◆夫の一平もずっと一緒で、一平はかの子が死んだ後、悲しみのあまり泣いて過ごし、3日後土葬しただけで、誰にも告知しなかった。かの子は小説を認めてもらうため、谷崎潤一郎に近づいたが、谷崎は「醜婦でしたよ。非常に白粉デコデコでね」と話し、容姿に対してだけでなく、存在そのものを嫌悪していたという。(嵐山光三郎著『追悼の達人』新潮社)◆生き地獄と思うが、救いはあったのか。親鸞の『歎異抄』を読み、生きる方向を暗示され、仏教に関するエッセーも書いている。太郎は母をどう見ていたのか。

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