連載・特集

2019.2.16みすず野

 安曇野市が産声を上げた平成17年10月1日付の特集記事に「屋敷林を何とか守っていけないだろうか」と書いた。落ち葉の片付けが大変で、手入れの費用も少額でないと家主の苦労を添えて◆屋敷周りの樹林が後ろの北アルプスの眺めと相まって田園風景になじむ。豊科郷土博物館の春季企画展「安曇野の屋敷林」(3月31日まで)に足を運んだ。防風のほか庭園樹、建材として植えられ、枝葉は薪や堆肥になった。樹洞に野鳥が営巣し、里山のような役割も果たす。人の暮らしと自然が織りなす環境―と解説にあった◆富山県の砺波平野で屋敷林は「カイニョ」と呼ばれ、田んぼの中に点在する農家を囲む。砺波市と県は枝打ちや植樹にかかる費用を助成していて、申請数は年70件ほどという。電話の向こうの市担当者は「平野内4市のうち、市民の景観への温度(意識)が一番高い」と誇らしげだった◆安曇野では住民団体が落ち葉拾い活動日を毎年設けている。家主の代替わりが進む。継承には市民意識の醸成と広がりが欠かせない。屋敷林フォーラムがきょう午後1時半から穂高のみらいで開かれる。冒頭の問い掛けが重ねられよう。