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妻籠宿の空き家改修 1棟解体して再生へ

 南木曽町が妻籠宿で計画する、隣り合う空き家2棟の改修で、2棟のうち1棟を解体し、新たに建物を整備する方向が固まった。昭和51年の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)選定以降、宿場の建物を解体して再生する初めての事例となる。もう1棟は、2階建てを平屋に改修する。町は2棟とも宿場の景観に調和した観光交流施設にする計画で、町並み保存と空き家対策の両立を探る新たな試みとなる。

 2棟は1棟が町の所有、もう1棟が町並み保存を担う地元組織・妻籠を愛する会の所有となっている。2棟とも戦後の建築で、改変が厳しく制限される重伝建の特定物件ではない。
 町所有の1棟は敷地に湧水があり特に傷みが激しいといい、倒壊の危険を取り除くには、解体して水処理をせざるを得ないとの判断となった。観光客が休憩したり、無料Wi―Fiを利用したりできる平屋の開放的な造りにする。
 2棟とも町が事業を手掛け、解体作業は年度内に終える。地元と協議しつつ設計と管理運営の詳細を詰め、来年度には2棟の再生を終える目標だ。総事業費は約3700万円を見込み、国の2分の1補助を受ける。
 愛する会によると妻籠宿には、完全に放置された空き家が5、6軒ある。盆暮れだけ所有者が帰省し普段は空き家状態となっている建物を含めると20軒ほどになるという。
 傷みが進んでいる建物もあり、町並み維持には対策が急務だ。町並み保存の根幹となってきた住民憲章の3原則「売らない、貸さない、こわさない」と、どう折り合いを付けるかが課題となる。向井裕明町長は「3原則を守りつつ実情に合わせた方法を見つけていく必要がある」と話し、今回の事業が住民と共に議論を深める契機になることを期待する。
 愛する会の藤原義則理事長は、町の資金的負担を踏まえ同様の改修を妻籠でさらに実施するのは「難しい」とみる。商業主義の外部資本から町並みを守る3原則の精神を継承する姿勢を強調しつつ、志のある人に空き家を貸したり売却したりする見直しも必要と考えている。