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戸田家廟園の整備 完工へ

松本藩主・戸田光年公(手前)や光行公の墓で行われている石積み作業

 松本市教育委員会が平成25年度から進めてきた市特別史跡・戸田家廟園(県2)の保存整備工事が本年度中に完了する。江戸前期の松本藩主・戸田康長公らの墓があり、松本城の歴史や江戸時代の大名家の墓制を知る上で重要な遺産だが、市が管理を担って60年余が経過し、石積みがゆがむなど老朽化していた。整備で歴史的な価値を見直す市民の関心を喚起したい考えもある。

 松本県ケ丘高校北側の閑静な住宅地に位置し、石垣で囲まれた敷地面積は約1890平方㍍。敷地は「内域」と「外域」に分かれ、内域には「丹波塚」と呼ばれる松本戸田家の祖・康長の墳墓がある。6代光行、7代光年の墓が並び、8代光庸の弟夫妻の墓もある。「外域」の廟園南側には最後の城主・9代光則が墓守の目的で移築した前山寺(廃仏毀釈で廃止)の長屋門が残る。
 市は昭和30(1955)年に戸田家から一部を除き寄付を受けた廟園を管理している。今回の一連の事業では25年度に生い茂った敷地内の樹木を伐採し、26、27年度に長屋門を整備後、29年度までに内域の敷石を浮き上がらせていた支障木の伐採、門や木柵の改修をした。
 現在は、事業の主要工事でもある各墓の石積みを一石ずつ積み直す作業が進む。復元しつつ、強度や耐久性を高める石積み内部の「ぐり石」の配置にも工夫を凝らす。工事に携わる、文化財石垣保存技術協議会の技能会員で1級石材施工技能士の山口隆徳さん(35)は「パズルのようで難しいが計算して石がぴったりくるようにしている。昔の大名の墓をきれいにしたい」と話す。早ければ2月中旬に石積みが完了する。
 廟園は施錠管理しており、市文化財課は「できるだけ開放する環境を整えたい。地域に根付く文化財を守り学ぶ対象として、多くの人に親しんでもらいたい」とする。6年間の総事業費は6443万円。