教育・子育て

信大医学部の研究 英誌に

 女性特有の神経発達障害の一つで小頭症や重度の精神遅滞、てんかんなどを特徴とする「MICPCH症候群」について、信州大学医学部の森琢磨助教(43)と信大バイオメディカル研究所・医学部の田渕克彦教授(48)の研究チームが病態メカニズムを解明し、英科学誌ネイチャー系の医学誌「モレキュラー・サイキアトリー」電子版に掲載された。メカニズムはてんかんや統合失調症、自閉症といった他の神経疾患とも密接に関係すると考えられ、神経性の病気全般の将来の治療戦略に役立つ成果としている。


 ヒトを含むほ乳類全般で、性別を決める性染色体には「X」と「Y」の2種類がある。雄にはX染色体とY染色体が1本ずつ、雌にはX染色体が2本ある。雌は発生初期に各細胞でX染色体の1本が不活性化され、1本のみの遺伝子が働くようになる。
 実験では、通常X染色体上にあり、欠損するとMICPCH症候群の発症につながる原因遺伝子に着目し、遺伝子操作によって2本のX染色体のうち1本のみに原因遺伝子を持つ雌マウスを作成した。X染色体の不活性化を経たマウスの脳を調べ、原因遺伝子を持つ神経細胞とないものがほぼ同数混在していることを初めて実証した。
 さらに、原因遺伝子を持たないと、神経細胞の情報伝達を担うシナプスで、神経を興奮させるものが増えて抑制させるものが減り、脳が適切に働くためのバランスが崩れていた。原因遺伝子が欠けた細胞では、特定の神経伝達物質受容体の発現量が顕著に低下することもわかり、異常なシナプスの形成を引き起こすことを明らかにした。
 信大松本キャンパス(松本市旭3)で17日に開かれた記者会見で、森助教はシナプスのバランスの偏りが自閉症などにつながる可能性も示唆し「女性特有の疾患と、発達障害などの発症メカニズムを知るということでも方向性を与えてくれた」と研究の意義を述べた。

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