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穴沢クジラ化石修復進む

 県の天然記念物に指定され、発掘から80年以上がたって風化が進んでいる松本市四賀地区の「穴沢のクジラ化石」の修復作業が進んでいる。生きていた時と同じ形でまとまった化石が発掘されている貴重なケースで、10日はクジラの専門家で、群馬県立自然史博物館で研究活動をしている学芸員の木村敏之さん(理学博士)らが調査した。脊椎骨(背骨)の状態などから、比較的若い個体の化石であることが新たにわかった。

 市による修復作業は昨年秋から本格的に始まった。化石は発掘地で現地保存されており、風化でもろくなったり、ばらばらになったりした化石の一部を回収し、今後補強した後、現地に戻す。春までに化石の修復を、今年中をめどに過去の修復によってモルタルで固められた化石周辺の補修を終えたい考えだ。
 木村さんは保存現場や回収した骨が置かれている市四賀化石館で調査を行った。脊椎骨の間に、クジラの成長に合わせてなくなる板状の化石が確認されたことから、成熟する前の比較的若い個体だと推定した。クジラの多くは、ほぼ人間と同じくらいの寿命だという。
 化石の一部は、周辺を固定するために張られたモルタルに埋もれてしまっていたが、今回の修復では幅15㌢、接着すると長さ数十㌢になる化石の一部を掘り起こした。新たに掘り起こした骨の部位は肋骨の可能性があるという。
 同時代のクジラの化石は各地で見つかっているものの、その多くは脊椎骨や肋骨が部分的に見つかる程度で、ばらばらにならず個体の形状を推測できる形でまとまって発掘されたのは全国的にも珍しいという。木村さんは「80年前という日本で化石の調査活動が本格化した初期に見つかった化石で、発掘史の面でも貴重」と話していた。