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堀金の小平彩見さん CLS紹介の絵本で原画と版画担当

出版社から原画が戻ってきたアトリエで、初めて手掛けた絵本を手にする小平さん

 安曇野市堀金烏川の木版画作家・小平彩見さん(46)が、福音館書店の月刊の小学生向け科学雑誌「たくさんのふしぎ」2月号で絵本「病院の子どもたち」の絵を手掛けた。病気と闘う子供たちや家族を支える専門職「チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)」の仕事がテーマだ。作画に当たっては地元の県立こども病院(豊科)に足を運び、イメージを膨らませた。29日から原画展も開く。

 CLSの藤井あけみさん=フィリピン在住=が体験をつづった文に合わせて、全40ページの絵本を二十数点の多色刷りの版画で彩った。入院生活を送る男の子2人が登場し、悩んだり元気になったりといったエピソードを通してCLSの役割が描かれている。
 小平さんが絵本作品に携わるのは初めてという。これまで手掛けた書籍・雑誌の挿絵や装画の版画では主に単色の技法を用いてきたとあって、多色刷りもチャレンジだった。明るい色調にすることで、読者の子供たちに「病院にいる子も悩みは皆と同じなんだよ」と伝え、重くて難しいテーマでも希望を感じてもらいたかったと言う。
 登場人物の感情の表現には、表情よりも手の動きや姿勢の描写を心掛けた。泣き出した男の子の顔は腕で隠れているが、差し伸べられた手を描くことで周囲の人たちの優しさが伝わる。実在の人物を作中の人物へと仕立てる難しさに苦労しながらも「新しい表現の試みができた」と言い、絵本作家のスタート地点にも立てたと手応えを感じている。
 仕事を引き受けてから原画、版画の制作で発刊まで2年近くかかった。米国発祥の職業で日本ではまだ40人ほどと少ないCLSが、近くのこども病院にいると知り、訪ねて活動の様子や院内学級を見せてもらった。
 小平さん自身2児の子育て真っただ中であり、こども病院に入院している子供や家族に心を寄せ、地域の関わり方を考えるきっかけにもなった。「同じ年代の母親同士で何か提案や要望があれば、サポートの輪が広がればいい」と話している。
 「たくさんのふしぎ」2月号は書店で購入できる。原画展は29日から2月11日まで、こども病院近くのカフェレストラン清雅で開かれる。