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歓喜天の法要、ひっそり続けて50年 松本の善昌寺、奇数月1~7日の早朝に

奇数月に人知れず続けられている歓喜天を祭る法要

 松本市清水1の天台宗・善昌寺で、仏教の守護神・歓喜天(別名・聖天)を祭る「浴油供」の法要が、昭和46年から奇数月1~7日の早朝に欠かさず続けられている。「ガネーシャ」の名前でも知られる歓喜天は、財宝や夫婦和合、子授けに強いご利益があり、中信地方で祭る寺は珍しいとされる。同寺の大澤祐仁住職(68)が「一生涯の役目としよう」と誓って50年近く、人知れず法要を続けている。

 法要は早朝4時ころから、本堂の一角にある部屋で約1時間行われる。歓喜天の好物とされる大根や、奈良時代に日本に伝わった唐菓子「清浄歓喜団」を供え、御真言を一心に唱えつつごま油を仏像の頭に108回注ぐ儀式を7回行う。これを7日間続けることで願いが成就するとされる。
 大澤住職だけでなく、一般市民も法要を助ける助咒として参列できる。時折、子供の病気治癒や商売繁盛、芸事の上達を願って訪れる人もいるという。神奈川大学大学院で民俗を研究し、昨年11月から法要に参加している市東真一さん(26)=松本市城東1=は「県内でこれほど長く歓喜天の法要を続ける寺院はほとんど無いのでは」と指摘する。
 大澤さんは善光寺大勧進(長野市)の僧侶を務めた若い頃、歓喜天と出合って法要を担当した。当時は他に法要を行う人がおらず、善光寺の末寺だった善昌寺の住職を20代で引き継いだ際、祭る僧がいなくなると心配して歓喜天の分神を寺へ迎えた。
 歓喜天はご利益は大きいが中途半端にやめた時の災難も大きいという。大澤さんは「お金が無い時も体調が悪い時も欠かすわけにはいかないのが大変。けれども、おかげでここまで大きな病気もなく続けられたのが何よりのご利益」とほほ笑み「体が動く限り続けたい」と話している。

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