政治・経済

地下水 新たな涵養策模索 安曇野 湛水に水利権の壁

 安曇野市の重要な地域資源である地下水の保全策を定めた「水環境行動計画」の先行きに不透明感が出ている。これまでは、水田に水を張って自然に染み込ませる「湛水」を施策の柱に位置付けてきたが、水利権の制度上、実現が厳しい状況だ。市は13日の市議会12月定例会一般質問で、新たな地下水涵養策を検討する考えを明らかにした。

 松枝功氏(政和会)の質問で宮澤万茂留市民生活部長が説明した。
 同計画では、地下水の涵養施策として①麦収穫後の転作田湛水(麦後湛水)②麦以外の転作田湛水③飼料米など新規需要米の転作推進④水田での湛水期間延長―を掲げる。しかし犀川水系では、かんがい以外の目的に河川の水を使う流量の余裕がなく、新たに水利権を取得するのが難しいとして③以外の3施策は実施されていない。
 水利権に頼らない施策としては、くみ上げた水を再び地下に戻す「涵養井戸」や雨水の浸透升、浸透池など人工的な涵養施設を使う方法がある。これらの研究の実施に向け、市が関係する環境分野の専門家らのプロジェクトチームが11月、環境省の研究資金に応募した。採択されれば来年度から3年かけて研究を行い、効果が実証されれば涵養策に位置づけて実施したい考えだ。
 地下水位は昔に比べると低下傾向にあり、市は8年後の年間涵養量300万立方メートルを目指す。目標達成に向け、受益者負担の「地下水協力金」を4年後に創設する計画だが、そのルール作りを進める上でも、柱となる涵養策は欠かせない。宮澤部長は答弁で「苦しいところではあるが、まずは涵養施策をしっかりと確立していきたい」と述べた。市環境課は水利権が絡む施策についても、諦めずに実現の可能性を探るとしている。

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