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松本城主の書 なんと本物

 わずか1000円で購入した約170年前の松本城主の書が本物だった―。松本市の松本城管理事務所の研究専門員・菅沼加那さんがインターネットオークション(競売)で入手した第22代城主・戸田光庸公(1798~1878)の書が本物だと分かり、関係者を驚かせている。菅沼さんは「城主が書いたものなので歴史的価値は高い」とし、市に寄贈を予定している。

 菅沼さんが今年8月ころ、インターネット情報サービス大手・ヤフーのオークションサイトを閲覧していたところ、光庸公の掛け軸が出品されているのが目に留まった。最低落札価格が1000円と安かったため、「偽物でもいいから買ってみよう」と1000円で入札に参加した。
 出品していたのは東京都内の表具店で、他に入札参加者はいなかった。あまりにも安値だったため、周囲の関係者は「偽物」との反応だったという。菅沼さんは「送料の方が高かった」と笑う。
 書は中国・明代の文人・文徴明の書の写しで、「光庸」と読める印が押してある。真偽を確かめるため史料を調べたところ、旧松本藩士・宮本家から最近寄贈された品の中に同じ印が押してある書が見つかった。松本城管理事務所や市立博物館が所蔵している光庸公の史料とも照合して本物だと分かった。
 松本城管理事務所によると、光庸公は自分の書を家臣によく与えていた人で、それが長い年月を経てネット競売に出品されたと考えられている。松本城に関係する史料の入手方法としては、過去に古書店で購入することはあったが、ネット競売で手に入れるのは今回が初めてという。
 城主関係の史料は各地に散逸してしまっており、菅沼さんは「松本に戻ってきたのでうれしい」と語る。

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