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防災ヘリ墜落は回避操作に原因 国の運輸安全委が調査報告書公表

 県消防防災ヘリコプター・アルプスが昨年3月に松本市郊外の鉢伏山に墜落し、搭乗していた県消防防災航空隊員9人が死亡した事故で、国の運輸安全委員会は25日、機体が地上に接近しても回避操作が行われず、樹木に衝突して墜落したと推定されるとの調査報告書を公表した。なぜ回避操作が行われなかったのかについては明らかにできなかったとしつつ、男性機長がマイクロスリープ(ごく短時間の居眠り)に陥るなどして覚醒水準が低下し、危険な状況を認識できなかった可能性が考えられると指摘した。

 報告書によると、防災ヘリは県営松本空港を離陸後、上昇しながら北東に向かい、山間地で右旋回した。その後、鉢伏山に向けて高度約1740メートルをほぼ水平飛行したと推定される。標高が上がり、山肌に接近したが、機体の姿勢や速度を維持したまま樹木に衝突した。胴体やメインローター・ブレードを約40メートルにわたって樹木と衝突させて操縦不能となったと推定される。
 機長がマイクロスリープに陥る要因としては、6日前に海外旅行から帰国しているため時差の影響があったことなど複数の要因が考えられるが、実際にその状態となっていたか明らかにはできなかったとする。ただ機体の故障の可能性は極めて低いことなどから「機長の覚醒水準の低下」が考えられると導きだした。
 高度1740メートルで水平飛行した理由については、目的地だった塩尻市の高ボッチ場外離着陸場の標高が約1580メートルで、そこから150メートル以上の高度を確保しようとした可能性があると分析する。ただ、実際には目的地より標高が高い鉢伏山の北東を飛行しており、もっと高度を上げる必要があった。
 事故原因とは別に、機長は病気の治療などを自己申告しないまま業務を行っていたことを指摘し、国交相への「意見」として、自己申告を正しく行うよう指導の徹底を求めた。