連載・特集

2018.10.5みすず野

 江戸時代前期の正保2(1645)年の俳諧書『毛吹草』には、そばの名所に信濃、武蔵の2国が挙げられているという。元禄10(1697)年刊行の博物誌『本朝食鑑』の「蕎麦」では「下野、佐野、日光、足利、武州などでも多く産しているが、信州の産には及ばない」と録されている◆300年以上前から、信州そばは有名だったのだ。江戸のそば屋には「信濃」「更科」「寝覚」「戸隠」など、信州人が始めたと思われる屋号が多かった、と言われる。そして、現在の塩尻市本山が「そば切り」発祥の地との説も、よく知られるところ◆そば切りとは、今日のそばの食べ方のことで、それまではそばは切らず、団子にして食べていた。松本城周辺で明日から、信州・松本そば祭り(実行委員会主催)が開かれる。ことしで15回目になる。県内外の19ブースが松本城公園内に軒を連ね、自慢のそばを食べ比べられるほか、信州地場産市などが楽しめる◆そばは、日本ならではの食文化であって、信州の風土に根づき、信州人がその役割を担ってきた。祭りを機に、もっとソバを知り、そばを味わってはいかがだろう。