連載・特集

2018.10.10みすず野

 「北の湖との横綱同士の大一番は面白かったなあ」「残った、残った、残ったの行司の声が耳に焼きついているよ。あれこそが大相撲だった」...。当時を知るファンの惜しむ声がしきりに聞かれた。大相撲で、北の湖とともに「輪湖時代」を築いた元横綱輪島が亡くなった◆両雄対決は、昭和47(1972)年から56年にかけて44回、うち千秋楽結びの一番22回、優勝を懸けた対戦8回、水入りの大相撲は3回。立った次の瞬間、輪島が左下手、北の湖が右上手を引き、輪島が右から絞り上げ、北の湖が上手投げ、輪島は下手投げを打ち返す。まさに力と力の戦いだった◆輪島は学生相撲出で、初土俵からわずか3年半で横綱に駆け上がった。独自の稽古などに批判もあったが、実力が伴い、現在に至るまで学生相撲出身唯一の横綱だ。「黄金の左」を武器に優勝14回を誇る。引退後、花籠部屋を継承するも廃業に追い込まれ、プロレスに転向した。角界にもっと貢献できたろうに、享年70は早い◆北の湖、貴ノ花、千代の富士もすでにこの世にいない。大相撲人気はいま高いものがあるが、輪湖のような力勝負を見たいという人は多い。