政治・経済

松本市の主要事業 見直し相次ぐ

松本市が取り組んでいる主な事業・計画のうち、中核市移行や市立病院移転新築、松本城南・西外堀復元など少なくとも5事業・計画がこの半年ほどの間に見直しを迫られたことが、市民タイムスのまとめで分かった。土壌汚染など予想外の事情も絡むが、準備不足も否めない。市議会から「事業を集中させ過ぎた」「計画の見通しが甘い」など厳しい声が上がっている。

 「堀復元という当初の目的を断念せざるを得ないことは誠にじくじたる思い│」。菅谷昭市長は7月の市議会議員協議会で、松本城南・西外堀の復元事業を見直す方針を説明した際、土壌汚染に対処する苦渋の決断だったことを強調した。
 長年の懸案課題である外堀復元の見直しが象徴するように、本年度に入って市が主要事業の見直しを公表する動きが相次いだ。
 5月には、民間ビルの用地取得と建物解体に絡み、移転新築する市立博物館の開館が平成35年秋に遅れることが発表された。地盤の支持力不足が判明した四賀運動広場改修事業では、使用開始が1年遅れて32年4月となる見通しとなった。
 8月には、同じ波田地区内で移転新築する市立病院は経営改革を優先するため、新病院の34年度開院は「難しい」との見解が示された。中核市移行については今月、1年遅れの33年4月とする方針が明らかになった。
 こうした状況に、ある市議会議員は「計画が集中し過ぎて行政としての対応能力が追いついていない」と分析する。別の市議は「大きな事業をする割に計画の精査が甘い。民間なら事業が1年遅れれば担当者は解雇だ」と憤りを隠さない。
 大型事業が集中した背景には、4期目の任期中に長年の懸案課題に道筋を付けたいと考えた菅谷市長の政治姿勢がある。市が「将来世代のためのハード整備」に掲げる市立病院の移転新築や市役所新庁舎建設のほか、中核市移行の取り組みは4期目になって加速度的に進んできた。ある市議は「計画が急ぎ過ぎて前のめりになっている」と指摘した。
 坪田明男副市長は取材に、中核市移行の準備不足や四賀運動広場改修事業の調査不足などを認めつつ、全体として主要事業の見直しが相次いでいることについて「長年の懸案事項に取り組む決断をして進めてきたこと。事業が大型化するほど予見できないリスクはある」と説明した。
 事業や計画の見直しは一方で、慎重に取り組んでいる姿勢の現れという見方もある。ある市議は「これからは一つ一つの事業に丁寧に取り組んでいくしかない」と語った。