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弘法山古墳を再発掘へ 松本市が来年度にも準備着手

 松本市は11日、市南西部にある、古墳草創期の3世紀末の築造と推定される東日本最古級の前方後方墳で国史跡「弘法山古墳」の周辺一帯を発掘調査し、整備を進めていく方針を明らかにした。昭和49年の発掘以来、墳頂部の石室以外の未調査部分に着手して解明が進めば、日本史上で新たな発見の可能性もある。桜の名所として長年親しまれている状況を踏まえ、市は「地元の桜との共存を図りながら進めたい」とする。

 市議会9月定例会の一般質問で上條美智子氏(公明党)が弘法山古墳の発掘調査を求めたのに対し、矢久保学教育部長が「文化庁と連携しながら学術的調査研究し、国民や全国の歴史ファンの要望にも応えられる整備を進める」と述べた。
 中山丘陵など一帯を「弘法山古墳史跡ゾーン」として位置付け、学習や観光、健康づくりの拠点として整備を検討する。昨年度に殿村遺跡(四賀地区)の発掘が一段落したことから、早ければ来年度にも調査の準備を始めたい考えだ。
 弘法山古墳は、墳丘の全長が66メートルで、後方部が幅47メートル、高さ7・5メートル、前方部が幅22メートル、高さ3・5メートル。松商短期大学建設に伴う発掘調査で見つかり、昭和51年に国の史跡に指定された。東海地方の土器が出土している。市文化財課によると、10年以上かけて発掘調査が行われ、史跡公園として整備された4世紀築造の森将軍塚古墳(前方後円墳、千曲市)で見つかった従者の墓「陪塚」が弘法山古墳にもある可能性が高いという。
 史跡指定から長い年月がたち、矢久保部長は、市民の史跡に対する意識の希薄化や古墳の荒廃を憂慮しつつ「教育委員会がその価値を充分に周知啓発せず保存活用の明確な方針を打ち出してこなかった」と反省した。
 上條氏は「整備には(長年桜を育んできた)地元と丁寧な調整が必要」とした。矢久保部長は関係者に感謝しつつ「今すぐ伐採ではなく、将来的に国史跡にふさわしい市民の誇るべき文化財としての保存と活用を地元と研究し、地域や市の活性化につなげたい」と答えた。

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