地域の話題

台風で小野神社本殿が倒壊 倒木や落果の被害も深刻

倒木が直撃して倒壊した小野神社本殿の一つ(5日午後2時ころ)

 台風21号の接近から一夜明けた5日、30メートルを超す最大瞬間風速の暴風に見舞われた松本・木曽地方では、倒木をはじめ、橋の流失や、果樹の落果などの被害が明らかになり、一部地域で停電も続いた。後始末に追われる人たちは、平成最強クラスの台風の"爪痕"に驚きながら、一過の青空の下で復旧作業を急いだ。塩尻市北小野の県宝・小野神社本殿も倒木被害を受けていることが分かった。

 塩尻市北小野の県宝・小野神社本殿の1棟が、台風による倒木の直撃を受け倒壊した。本殿近くのカシワの巨木が倒れ、隣接するもう一つの本殿の屋根も一部損傷した。県教育委員会は近く現地に入り、被害状況を調べる。
 本殿は幅2・6メートル、奥行き3・8メートルの白木造で、江戸時代の寛文12(1672)年に建築された。カシワは目通りで直径約1・5メートル、高さ約30メートル。5日に宇治橋淳宮司や総代会役員が被害を見つけた。特に本殿後部の屋根が抜け、建物全体が南側に傾いていた。
 小野神社は、隣接する矢彦神社(上伊那郡辰野町)と同じ社叢を形成し、その社叢は県天然記念物に指定されている。宇治橋宮司は「過去の台風でも倒木はあったが、建物にこれほど大きな被害が出たのは初めて」と肩を落としていた。
 倒れた木が暴風のすさまじさを物語った。松本市内では、松本城公園で高さ約10メートルのネムノキが根元から折れ、脇にあったベンチがつぶれた。あがたの森公園ではヒマラヤスギ2本の太い枝が折れ、うち1本が電線に引っかかった。市は5日、園内を一時立ち入り禁止にして除去作業をした。
 松本警察署によると、管内では屋根など一般住宅の一部損壊が8件あり、他に店の看板が壊れたり道路が冠水したりする被害もあった。風雨が強まった4日午後4~10時に110番通報が殺到したという。
 松本広域消防局によると、4日午後7時45分ころ、松本市里山辺の道路で地元の男性(41)が自転車で走行中、切れて垂れていた電話線に乗り上げて転倒し、軽いけがをした。
 安曇野市明科東川手の県道下生野明科線は、沿道の木々が電線に倒れ込み、電柱も2本折れ、復旧作業に伴い5日も通行止めが続いた。
 倒木などによる各地の停電は順次解消されたが、中部電力によると、5日午後3時時点で松本市や生坂村、木曽町などの一部地域で続いた。
 農業被害も明らかになった。JA松本ハイランドによると、リンゴやナシを中心に県営松本空港周辺で落果被害が出た。松本市中山では花き栽培のビニールハウスが倒壊した。同JAは管内の被害額を約4000万円とみる。松本市今井の果樹農家・大瀧健太さん(35)は落ちたナシを拾いながら「落ちていない果実も擦り傷がついていないだろうか」と心配していた。
 木曽地方は大雨になった。長野地方気象台によると、4日午前1時~5日午前5時の降水量は御嶽山で221・5ミリに上った。木曽川は増水し、大桑村道の大桑橋が流失した。
 前日に多くの列車が運転を見合わせたJRは5日、朝に篠ノ井線松本―塩尻間の普通列車などが運休したが、通常通りに戻った。
 台風21号は5日午前に日本海を北上し、温帯低気圧になった。