連載・特集

2018.9.17 みすず野

 「2025年問題」だの、医療費や介護費がかさむだの、高齢者の急増に伴う課題ばかり取り沙汰され「おじいちゃん、長生きして良かったねえ」「おばあちゃん、100歳まで生きてね」といった優しい言葉を聞く機会が失われつつある◆かつて誰もが持っていた長幼の序、もしくは敬老の精神は薄れた。であるなら、高齢者はこれまで懸命に生き、この社会を支えてきた誇りを胸に、敬老など求めず、自ら老いを楽しむ気持ちで生き抜けば、それでいいのではないか。動けるうちは働いて生計を立てる人、地域の役職に就いて貢献する人、趣味やボランティアに生きがいを見いだす人、一人静かに老いる人◆それぞれでいいのではないか。医師の保坂隆編著『老いを愉しむ言葉』(朝日新聞出版)は、友だちづき合い、生きがい、健やかさ、悲しみ、老いと死の各章に、世界の著名な先人たちの言葉を引用し、保坂さんがやさしい解説を加えて、老いの励まし、支え、慰めになる◆言葉の一つは、「薬を10錠飲むよりも、心から笑ったほうがずっと効果がある」(アンネ・フランク)。笑うことは最高の健康法で、心がけ次第かもしれない。