地域の話題

寄棟造り建物 存在か 明科廃寺 隅切瓦が出土

 安曇野市明科中川手にある県内最古級の寺院跡「明科廃寺」で、市教育委員会が5~6月に行った第5次調査の発掘箇所(約40平方メートル)の近くに、瓦ぶきの「寄棟造り」などの建物があった可能性が高いことが分かった。寄棟造りは四方に傾斜面のある屋根で、三角形などの形をした「隅切瓦」が必要となるが、今回の調査で隅切瓦の一部とみられる破片が出土したという。

 明科廃寺は創建が7世紀末~8世紀初頭とされる。市教委によると、今回の調査で表土を除いたところ、瓦類が折り重なるように見つかった。瓦の総重量は概算で約2・5トンに上ることも判明した。大量の瓦が残った理由は現時点でよく分かっていないが、向きがばらばらだったことなどから、建物が崩れてそのままの状態ではなく、建物を取り壊したか、倒壊した後に、人為的に瓦を近くに片付けたことも考えられる。
 今回の発掘箇所は、寺の主要な建物が立ち並ぶ「中心伽藍」の一部である可能性がある。柱を立てるための礎石などは見つかっていないが、担当する市教委文化課の土屋和章さんは「今回の調査区の数メートルから十数メートル以内に、礎石のある瓦ぶきの建物があったのではないか」とみている。
 瓦ぶきの建物の使用目的や規模は、現時点では不明だが、屋根の構造は、傾斜面が二つあって開いた本を伏せたような構造の切り妻造りではなく、より複雑な寄棟造りや、寄棟造りより凝った入り母屋造りの可能性が高いという。
 市教委によると、古代の寺院では主要な建物に使われることが多い。屋根の構造は、三角形と台形の傾斜面を組み合わせるため、四角い瓦だけではふけない箇所に使う隅切瓦が必要になる。今回の調査では、隅切瓦の一部とみられる破片が出土したことから、瓦ぶきの建物があったことに加え、屋根の構造も想像できる結果となった。
 市文化財保護審議会委員で、専門指導者の大澤慶哲さんは「どんな建物かは不明だが、大きな成果だ」と指摘している。