政治・経済

イオン旧生科研解体へ

 松本市中央4の大型商業施設・イオンモール松本を運営するイオンモール(千葉市)は8日、イオンモール松本の「空庭」敷地内の旧生物科学研究所の建物を解体すると発表した。9月3日に解体工事に着手し、11月下旬までに更地にして駐車場を拡張する考えだ。昭和11(1936)年建築の近代産業発展の象徴ともいえる建物だが、老朽化で保存が困難と判断した。地元からは活用を望む声もあったが、モール開業からわずか1年での取り壊しが決まった。

同社によると、2階建て木造のため再利用や移設が困難で、従来の敷地に建物と周辺の樹木を保存してきた。地元の保存活用の要望もあり、建物保全の状況調査を行ってきたが、雨漏りによる木材の腐食が進み、耐震性がなく安全確保の面からも「取り壊しが妥当」と結論付けた。解体後は空庭の建物内にギャラリーを開設し、「模型と写真パネル展示で生物科学研究所の歴史を後世に伝える」(広報部)という。
 旧片倉製糸紡績蚕業試験所として地権者の片倉工業が前身・片倉製糸紡績時代の大正3(1914)年に筑摩で設立した合資会社に始まり、飼育が容易で上質な糸を出す蚕を研究した。昭和60年に生物科学研究所となり、花粉交配用ミツバチの飼育など技術の研究・実践をした。
 旧生物科学研究所の解体は先月地元に打診があった。第三地区まちづくり協議会の降旗都子副会長は「残念。もう少し活用してほしかった。建物はなくなっても地元の産業発展の歴史を伝えていきたい」と話した。
 同じ開発区域にあった昭和4(1929)年築の市内最古の建築物・旧カフラス社屋事務所棟は平成28年6~8月に解体され、昨年9月の開業当初に「晴庭」建物内で外壁の一部が保存再生されている。