連載・特集

2018.8.8 みすず野

 日本人の死生観が急速に変わってきているのを感じる。死生観というと難しく聞こえるが、端的に言えば葬儀のあり方だ。ある大がかりな調査によると、自分が死んだとき、どんな葬式を希望するかに対し、3割超が「葬式は不要」、「身内や親しい人だけの葬式でいい」も3割を超えた◆「普通の葬式」は1割未満、「盛大な葬式」に至っては何と1%である。家が崩壊し、義理や人間関係が希薄になり、長寿や経済的な事情も相まって、葬儀の簡略化が明らか。簡略に済ませても故人を軽んじたことにはならず、故人もそれを望んでいた。であれば家族葬、直葬、自然葬、共同墓、墓も要らない「0葬」◆ことし半年間に、本紙に載った葬儀のうち、家族葬(近親者葬を含む)は24・2%に上った、と記事で読んだ。家族葬は近年目立ってきており、歯止めがかからない。歯止めどころか、今後も増え続けるにちがいない。これは仏教式の華美な葬式は必要なのか、の問いへの答えとも言える◆家を重んじ、祖先を崇拝し、近隣や寺院とのつながりを大事にする。その一つ一つが現実とそぐわなくなり、あっさり死のうというのである。