連載・特集

2018.8.7 みすず野

 「ガスタンクでも爆発したか」と思い、空を見上げると、巨大なキノコ雲が湧き上がり、その雲はもくもく動く度に色を変化させて、まるで万華鏡でも眺めているようだったという。松本市に移住されていた方から伺った体験談だ◆原爆雲を写真でよく見るが、むろんモノクロで、そうか、そんな鮮やかな色の変化があったのか、と思った。昭和20(1945)年8月6日午前8時15分広島、9日午前11時2分長崎、原爆は落とされた。キノコ雲の下に繰り広げられた"地獄絵"は、数々の証言や資料でいまに伝えられる◆広島、長崎の被爆地の叫び、訴えは核兵器のない世界を目指す原点であり、政府は「唯一の戦争被爆国」の立場を強調するものの、米国の「核の傘」に依存する政策を続けている。北朝鮮の核の脅威は当面避けられはしたが、核のない世界の実現に向かっているわけではない◆「安らかに眠って下さい。過ちは繰返しませぬから」。広島の爆心地に近い、原爆死没者慰霊碑に刻まれた言葉である。絶対に繰り返してはならず、日本が世界に向けて発信してゆくべき第一は、核兵器廃絶だろう。73年の歳月を経てなお。