連載・特集

2018.8.15 みすず野

 『昭和天皇独白録』を読むと、昭和天皇自らが「ポツダム宣言」(無条件降伏)を不退転の決意で受け入れたことがわかる。本土決戦を意気込む軍部首脳に対し、いや、戦争は終結させると裁断を下した◆昭和20(1945)年8月14日、午前11時から始まった御前会議の席上だ。夜9時過ぎ、天皇は作成された終戦の詔書(天皇の意思表示の公文書)に署名、宮内省で午後11時20分ころから、国民向けの放送の録音を行い、明けて15日正午、その「玉音放送」が日本放送協会(NHK)のラジオから流れたのであった◆国民はよく聞き取れないなかに、戦争が敗戦によって終わったことを知らされた。政府や軍関係機関は、国家機密に関わる文書、資料の焼却を決め、それは素早かった。14日夜から15日にかけて、東京永田町一帯は、もうもうたる煙が立ちこめたそうだ。独特の抑揚の天皇の声を、国民はこのとき初めて聞いた◆大方の人は悲嘆にくれ、無念の涙を流した。中には軍部が崩壊する"音"を同時に聞き、喜んだ人もいたようである。73年の歳月は、戦争の記憶を遠い彼方に追いやる。次の世代に伝えねばならないのだが。

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