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稲核菜復権へ松本市が奨励金

 松本市は今夏、かつて松本平一帯で栽培されていた「稲核菜」の復権・振興を図り、伝統野菜の作付け拡大を後押しする奨励制度の対象品目に稲核菜を加えた。市内の個人・団体が伝統野菜を新規または増産して栽培する場合に奨励金を交付する制度で、高いブランド価値がありながら、担い手の高齢化で減産している山間地の伝統野菜を、平地部を含めた全市的な農家の協力で安定供給につなげる。

 県の「信州の伝統野菜」に選定されている稲核菜は、野沢菜(下高井郡野沢温泉)、羽広菜(伊那市)と並んで「県内三大漬け菜」と呼ばれていたという。しかし、やや小ぶりな稲核菜は面積当たりの収量が他と比べて少なく、生産地は昭和30年代から次第に狭まり、原種を守る松本市安曇の稲核集落にほぼ限られるようになった。
 稲核菜の漬物は安曇の道の駅風穴の里で販売され、土産物として観光客らに好評だが、近年の収穫量落ち込みで原料確保が悩みだ。稲核生産者組合の川上一治組合長(60)は「人気商品だけに品薄。このままではいずれ在庫が尽きる」と危機感をにじませる。
 市の奨励制度に基づく栽培では、伝統野菜の地元生産者団体から入手した種を用いることが条件になる。稲核菜についての交付金額は、市内全域を栽培地とし生産者1人につき最大10万円、1㌃当たり3000円となる。
 すでに数件の申し込みがあったといい、組合は出荷マニュアルを作成して受け入れ体制を整えていく。市西部農林課は「伝統野菜はブランド価値が高く、販路はある。この助成が伝統野菜を守る機会になれば」と期待している。
 平成28年度に始まった奨励制度では、当初から「松本一本ねぎ」が対象作物になっており、今回稲核菜に加えて、乗鞍高原の「番所きゅうり」、奈川の「保平蕪」も対象になった。交付金額・対象地域は作物によって異なる。問い合わせは市西部農林課(電話0263・78・3003)へ。