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増える家族葬 中信で24% 高齢化、義理の縮小背景に

 亡くなった人を家族や近しい人だけで送る「家族葬」が近年、中信地方でも増加傾向にある。市民タイムスのまとめによると、今年の1~6月に紙面に掲載した故人1506人のうち、家族葬(近親者のみの表記分を含む)の件数は24・2%(364件)に上った。背景には、高齢化や核家族化の進行による義理ごとの縮小といった事情などがあるようだ。

 紙面に掲載された家族葬の件数は、1月が総数292件のうち61件(20・9%)、2月が255件のうち55件(21・6%)、3月が275件のうち64件(23・3%)、4月が230件のうち69件(30・0%)、5月が227件のうち52件(22・9%)、6月が227件のうち63件(27・8%)だった。  「法祥苑」の施設名で葬祭業を展開するアステップ信州(本社・松本市埋橋2)の葬祭部・小澤忍課長(54)は「家族葬の定義はなく、一般葬に対して家族や近しい人だけで送る場合をそう呼んでいる」と説明する。「近しい」という範囲は遺族ごとに異なり、故人の近所の人たちや親交のあった友人らを含んだり、そうでなかったりする。  同社の統計によると10年ほど前に東京などの都市部で家族葬が目立ち始めた。松本地方でも5年ほど前から増えてきた。同社は需要の拡大を受けて3年前、松本市両島に「家族葬の心羽」を新設するとともに、「家族葬の相談会」を法祥苑で定期的に開いている。  JAは、各地に設けた「虹のホール」で葬祭事業を展開する。JA葬祭松本(松本市笹賀)の塩島公一所長(48)は現状、全体の4分の1ほどが家族葬だとし、統計を基に「2年ほど前から一気に増えた」とする。背景に、家族葬という言葉が広く認知された点を挙げる。  ただ、言葉のイメージが先行し、費用面に誤解を持っている人も相当数いることを強調し「自分たちが望む葬儀であるかどうかをしっかり確認し、後悔のないようにしてほしい」と呼びかける。アステップ信州の小澤課長も、祭壇やひつぎなど葬儀に必要な物が一般葬と変わらないため「施主の負担部分は一般葬とそう変わらない」と話す。  小澤課長は家族葬の増加理由の一つに、相談会で受ける質問などを踏まえ「うちうちで静かに送ってあげたいと考える方が多くなった」ことを挙げる。故人の交友関係が分からず、隣近所や仕事関係などで付き合いのあった人たちに参列を求めず、義理を狭めていく考えの遺族も少なくない。  5月に父親を総勢20人余りの家族葬で送った松本市のパート女性(42)は「知らない顔が1人もいない中で、いろいろと気楽に話せた。口数の少ない父もごくごく身内だけに送られ、喜んでくれたと思う」と話した。