連載・特集

2018.7.17 みすず野

 「何だこれ!? さっぱりわからん」「これはね、ミサイルが発射されて、落ちて来て、地上が壊されたんだよ」...。ある美術館に展示された芸術品を、訪れた大人たちはみな、理解不能と首をかしげたのに対し、一人の小学生が見た瞬間、口にした言葉だという◆作者は、実際それをイメージして制作していた。言われて眺め直すと、そのように見えてくる。なぜ大人は理解できず、子どもにはわかったのか。日体大教授で、美術教育研究家の奥村高明さんが過日、松本市内で講演され、この実例を挙げて謎解きをした。講演の題名からして「ニューヨークのエリートは、美術館に集う」の興味深いものだった◆奥村さんによると、子どもは全身の感覚を働かせて作品を見、作品と同化する。大人は頭だけで見る。ではNYのエリートは、なぜ美術館に行くかだが、作品に対して感覚や思考をフルに働かせ、自分の中に新しい何かを発見したり、生き方を練り直したりするため◆もっとも、全作品と真剣に向き合う必要はなく、せいぜい4、5点重点的に見れば十分だそう。能力ならぬ脳力を覚醒させることができれば、鑑賞の価値は高まる。

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