政治・経済

お城外堀復元を松本市が断念 土壌汚染の処理が問題に

芝生を張った平面整備のイメージ。緑色の部分が南・西外堀

 松本市の菅谷昭市長は10日の市議会議員協議会で、松本城の南西側で用地買収を進めている南・西外堀の復元事業について、外堀復元を断念し、堀の範囲を平面的に示す「平面整備」に変更する方針を明らかにした。事業用地で見つかった汚染土壌の処理費用が法的には地権者負担となることが分かり、そのままでは用地買収が進まなくなるため、掘削して水を張る復元はできないと判断した。

 用地買収が48%完了している状況での大きな方針転換となる。平成19年度に事業着手を表明して以来、「相当の覚悟」を持って取り組んできたという菅谷市長は、関係市民らに対して「心からおわび申し上げる」と謝罪の言葉を重ね、「断腸の思い」と述べた。
 市が次善の策として考えた平面整備は、大正期から昭和初期にかけて埋め立てられた土を掘削せずに更地とする考え方で、用地買収はこれまでどおり進める。菅谷市長は「本意ではないが、外堀復元は将来の課題として取り組むことを強く望む」と、将来の可能性に事業を託した。
 南・西外堀の復元事業用地は約1万1000平方㍍で、今年1~3月の調査で全体の34%に当たる約3800平方㍍が、「鉛およびその化合物」に汚染されていることが判明している。汚染が広範囲にわたることや、基準値の10倍以内であることなどから、自然由来の蓄積と考えられている。汚染土壌を深さ2㍍の範囲で除去する場合、市は約4億6000万円の費用がかかると試算している。
 市によると、汚染土壌は土壌汚染対策法に基づいて所有者に処理する責任があり、市が土地購入後に汚染土壌を処理しても、費用を元の所有者に請求する必要がある。市が処理費用を負担すると不適切な公金支出になってしまうという。矢久保学教育部長は「所有者に費用を請求するとなると土地取得が難しくなる」とし、平面整備に理解を求めた。
 市は外堀を幕末維新期の姿に復元することを目指していた。