地域の話題

朝日村の現代美術家 下田ひかりさんが故郷で初個展

 朝日村針尾の現代美術家で、米国や欧州、アジアなど世界にファンがいる下田ひかりさん(33)の個展「死と再生のカタストロフィ」が7日、地元の朝日美術館で始まる。社会問題に根差すシリアスな現実認識を、漫画を思わせる画風やポップな色調に乗せて伝える独特な表現の絵画37点を集める。準備が進む会場で6日、下田さんが市民タイムスの取材に応じた。

 クローズアップで描かれる子供たちの表情は、見る人の心の奥をのぞき込むかのようだ。左右の瞳の色調が違ったり、角が生えていたりする非現実的な表現に不気味さも感じる。半面、星や光の輝きのような模様に一種の明るさが垣間見える。
 東日本大震災や福島第1原発事故などに触発された表現がある。現代の生きづらさや人類滅亡の予感を"可視化"したいという思いが制作の動機で、下田さんは「現代というものを形にして、残していくのが芸術家の役割だと思う」と話す。
 一方で、幼い頃から親しんできた漫画やアニメーションが背景にある描き方は、ポップで親しみやすくもある。生まれ育った村内には色の種類が少ないという感覚がかえって、作品の画面にさまざまな色彩をあふれさせる。「サブカルチャーが根っこにあることを、きちんと示したい」と考える近年は、そうした傾向が強まっている。
 松本美須々ケ丘高校から京都市の芸術短期大学に進んだ。平成20年に東京都で初めての個展を開き、米国のニューヨークなどでの個展開催の経験もある。
 美術家の活動を始めて10年がたつが故郷での個展は初めてで、村の開村130周年記念事業に位置づけられた。地元で制作を重ねる下田さんは「ここにいて作品を作り、世界の人たちに知られている"立ち位置"をはっきりさせておきたい。ここに足を運び、作品を見てもらえることに意味があると思う」と話している。
 8月26日までの午前9時~午後5時(原則として月曜休館)。入館料は大人800円、大学・高校生500円、小中学生200円。市民タイムスなど後援。問い合わせは朝日美術館(電話0263・99・2359)へ。