連載・特集

2018.7.23 みすず野

 プロスポーツの世界でよく聞く言葉に、「素質プラス努力」がある。元々の素質がなければどうにもならないし、素質があっても努力しなければ、花開かない、一流にはなれない、という意味だ◆3横綱1大関の休場があったとはいえ、御嶽海の初優勝は「あっぱれ」である。素質という点では、上背はそれほどないが、押し相撲に適した体型で、下半身が柔らかい。そして解説者や親方衆が口をそろえるのは、相撲勘の良さ。土俵上での一瞬の対応力を指し、名古屋場所だと、先手を取られた豪栄道戦での体の素早い開きがそうだった◆努力の点では、ただ汗を流す、砂にまみれるのではなく、相手の取り口をよく頭に入れ、研究を重ねて本番に臨む。御嶽海を知る関係者から、その具体的な方法を聞いたのは、1年半前、松本市内で開かれた後援会のパーティーの席だった。苦手の巨漢魁聖戦の立ち合いに、研究の成果が表れていた◆優勝賜杯以外に、何かをつかんだのではないか。ぶつかり合った後の速い攻め、前まわしをつかんでの寄り...。9月の秋場所は大関とりとなる。暑い、熱い夏を経て実りの秋へ、期待はいっそう膨らむ。