連載・特集

2018.7.12 みすず野

 いまさら言うまでもないが、人は水なしでは生きられない。命の水であるから、大昔より水辺に住んできた。飲み水をくみ、農業用水路を造って田畑を潤し、穀物を生産してきた。わが国は島国、山国で平野部が少ない◆海岸、河川に堤防を築いて、すぐそばに家を建てたり、急傾斜地を切り開いて宅地造成した。特に戦後の経済発展、人口急増の中で「列島改造」した。だが、自然の脅威、とりわけ水の力は、いとも簡単にその堤防を乗り越え、破壊し、土砂崩落を起こす。東日本大震災の大津波がその典型だったし、今回の西日本豪雨もそうである◆豪雨被害は日に日に拡大、死者は13府県で160人を超え、70人近くがいまだ行方不明、1万人が避難生活を送ると伝えられる。なお大気の状態は不安定で、日が差せば猛暑、被害の広がりを防ぐ対策や復旧が急がれるが、たやすくはあるまい◆広島県府中町では晴れているのに、上流でせき止められていた土砂が流れ出し、突然川が氾濫した。床下浸水であっても一度濁流にさらされると、元に戻すのは非常な苦労である。変幻自在の水に、私たちは翻弄されつつ生きてゆくほかない。