連載・特集

2018.7.11 みすず野

 現在の松本市生まれの元朝日新聞記者・小松恒夫さん(故人)は働き盛りの40代、過労で倒れ、絶対安静2カ月を経て、歩けるまでに回復したとき、転居していた武蔵野の風景が全く異なるものに見え、畑作りを始める◆農と自然を愛し、その中に生きる人たちを知り、教えられ、8年して体験記を著した(『百姓入門記』農山漁村文化協会)。「耕す側に加わることによって出会いの窓は開かれた。窓明かりがこの先照らし出すものはなんだとう」と締めくくっている。家庭菜園で夏野菜が取れ始めた。キュウリの成長はびっくりするほど早く、日々相当量収穫して、主に浅漬けで食べている◆同じキュウリでも種類はさまざま。当地で栽培されている「信州の伝統野菜」の一つに、「羽淵キウリ」があり、塩尻市の権兵衛街道の奈良井羽淵集落に伝わってきた。まだ食べたことはなく、どんな味かなと思っている。家庭菜園はこれから、ナス、トマト、ピーマン、トウモロコシなどが収穫期を迎える◆小松さんレベルにはほど遠いが、毎年種類や工夫を加えるのは楽しみ。農ある暮らしは、人間本来の生活を気づかせてくれるようである。