政治・経済

松本の新市立病院建設計画 課題が山積

 松本市は、老朽化に伴い移転改築を計画する市立病院(波田)について、「建設基本計画」を基に9月の基本設計着手に向けた検討を進める。現行の急性期~回復期の診療を担いつつ、外来を主に在宅医療も手掛ける病床数200床未満の「在宅療養支援病院」に舵を切っていくとみられるが、現時点では不確定要素や解決すべき課題も多い。

 総務省の新公立病院改革ガイドラインや県地域医療構想に沿って、「市立病院新公立病院改革プラン」(29~32年度)と建設基本計画が策定された。計画では、現在の許可病床数「215」を「210以内」に減らして個室化を進め、患者の安心安全な環境整備や経営の効率化を図る。終末期がん患者向けの「緩和ケア病棟」(約15床)を新設する方針だ。
 病院経営をみると、28年度の病院事業会計決算は2億5400万円の当年度純損失を計上し、3年連続の赤字だ。29年度の決算概要は7月上旬にも示される見通しだが「依然厳しい状況」(市病院局)。25~27年度の平均経常収支比率は98・4%で、改革プラン期間の32年度までに経常収支比率100%以上の黒字化が求められている。
 医師確保や提供するとした医療の充実は必至で、斉川久誉局長は「本業の部分で収益を上げていかないと」と話す。新病院開院後の財政シミュレーションの素案は「決算確定段階で見直す」とし、建設に当たり103億円の概算事業費を今後どう圧縮するかも課題だ。
 病床利用率は、29年度は前年度より2ポイント上昇したが70・3%にとどまる。国が抜本的な見直しを適当とする「おおむね過去3年連続70%未満」に該当する。新病院では病床数「200未満」も視野に個室化と合わせた病棟整備で病床の稼働率85%を目指す。
 ただ、個室化は「建築面積と費用の増加や看護師の動線確保の病棟運営の課題」もあるとし、慎重な姿勢も必要だ。現在「差額ベッド代」が生じる個室が30床で、28年度実績では2220万円(当時33床)の年間収入があった。
 用地交渉も「足踏み」状態だ。建設候補地は、昨年1月に波田地区周辺の5カ所から、現病院より約2㌔東の宮地エンジニアリング松本工場跡地を最適地として選んだが、土壌調査がまだ済んでいない。市は今後の工程に遅れが出ないよう企業側と調整している。宮地の敷地は5万6244平方㍍で、「瑕疵のない状態」で取得した場合、病院用地(約3万平方㍍)以外の活用も考える必要がある。
 市議会6月定例会で、菅谷昭市長は「現状や今後の見込みを踏まえ、地域の医療需要に合った経営が大変重要」との考えを示した。現場の医療従事者の意向も踏まえつつ「市民から支持され愛される病院を目指したい」とする。