政治・経済

ヨウ素剤事前配布検討 松本市が放射線災害対策

 松本市は原発事故などの放射線災害に備えて、観光客を含む13万人分の安定ヨウ素剤を備蓄している。放射性ヨウ素が甲状腺に取り込まれる前後に服用することで甲状腺がんの発症リスクを低減する効果があるが、災害時は対象者が自分で備蓄先に取りに行く必要がある。一刻を争う非常事態に円滑に行き渡るのか―といった指摘もあり、市は事前配布を含めて配布態勢の検討を始める考えだ。


 市は平成23年3月11日の東京電力福島第一原発の事故を教訓に24年度から、甲状腺がんの発症リスクがある40歳未満の市民と観光客を対象に、安定ヨウ素剤を備蓄している。3歳以上が対象の丸薬は小学校23校に、3歳未満児用の分包は薬局に保管されている。
 仮に原発事故が発生した場合、国や県からの情報を受け、市と医師会、薬剤師会、歯科医師会でつくる市災害対策本部・本部医務班が判断して市長に進言し、市長が配布を指示する。防災無線や町会などを通じ、対象者に安定ヨウ素剤を取りに来るよう呼びかけることになるという。
 ただ、災害発生後の配布がスムーズに行われる保証はなく、放射性ヨウ素が体内に取り込まれ始めてから24時間以上たった後の服用では効果が薄れるというデータがある。全国的に事前配布している自治体もある中、市危機管理課は「事前配布ができるかどうかは別として検討していきたい」としている。
 安定ヨウ素剤については、NPO法人・日本チェルノブイリ連帯基金(JCF、浅間温泉2)が事前配布を望んでいる。神谷さだ子事務局長は「備蓄は素晴らしいこと。せっかくなので、もう一歩進めて市民の手元に行きわたるようにしてほしい」と願う。安定ヨウ素剤が市民の手元にあることで、日常からさまざまな被害について考えるきっかけになるとも考えている。

 JCFは安定ヨウ素剤の事前配布について学ぶ取り組みを進めており、7月7日午後1時半から庄内地区公民館でフリーライターの守田敏也さんの講演会を開く。守田さんは兵庫県篠山市で安定ヨウ素剤の事前配布実現に尽力したという。定員45人で参加無料。
 問い合わせは、JCF(電話0263・46・4218)へ。